こぼれ落ちた被害者問題

 2022年6月、アダルトビデオ出演被害防止と救済のための法律が議員立法により成立しました。この法律では、騙されて出演契約を結んでしまった人については救済できるようになりましたが、自らの意志で出演した人の救済は困難なままです。こぼれ落ちた被害者の声から、新法見直しに望むことをまとめました。

https://makog.theletter.jp/posts/daf1ba10-e6e2-11ec-8e77-a36054a1b675


アダルトビデオ出演被害防止・救済法とは

「AV出演被害防止・救済法」が施行されました(内閣府男女共同参画局からお知らせ)https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/index.html#anc03


出演被害者団体としての願い

性行為・虐待を撮影すれば、合法であるかのように、国がお墨付きを与えてしまったことをが残念です。金銭を対価にした性行為、虐待、凌辱、健康被害、人権侵害を禁ずる規定が必要です。撮影でこれらを違法としなければ、根本的な被害防止にはなりません。性行為や尊厳を傷つける行為を撮影したものが、商品として消費され続けること自体が被害です。性行為や尊厳を傷つける行為を撮影したものが、 商品として消費され続けること自体が被害です。性的に凌辱する人権侵害をエンターテインメントとして金銭でやり取りすることは、国際的に批判されています。見直しに向けて、以下のことをお願いします。

①挿入を含む性交、類似行為の禁止。(性行為は、擬似による演技で十分です。)

②公序良俗に反する行為、虐待、犯罪フィクションは厳しく契約無効にして下さい。

③公開する権利(公表権)を無期限無制限で出演者に下さい。

④「作品」ではなく「性的画像記録」という規定に変えてプラットフォームを規制する必要があります。

⑤スカウトは、人身取引です。禁止して下さい。

⑥必要な人が医療と福祉、行政支援に繋がりやすくする相談体制の充実が必要です。

⑦性的シーンを撮影する場合、常にインフォームドトラウマケア、感染症予防、性行為による心身の後遺症に対するケアなどの医療と連携する必要があります。

⑧医療現場、心理臨床からの警告から被害者を守る具体策やAV業界に健康被害の免責を禁止する必要があります。

  • 粘膜接触による感染症の危険が高い。

  • トキシック症候群 野菜、異物、海綿、スポンジなどの挿入による被害発生。

  • 挿入自体の襲撃性による影響が甚大。

  • 性化行動、性的自傷とトラウマの再演を繰り返すことで複雑性PTSDの悪化。

  • 関係性依存の搾取被害、各種依存症の発症。

  • 泌尿器科系疾患の発症。

多くの被害者が、既存の支援団体に繋がれていません。現在行われている被害者支援は、「強要」被害を訴える被害者を救うサービスを中心に提供していますが、アダルトビデオ(AV)を含む性的画像記録出演に関する被害者の多くは、「強要されていない」、「自らすすんで従事している」と思い込まされています。「トラウマの再演」や「性的自傷」「関係性の依存」を搾取されているなど、種々の事情を抱えていても無自覚なケースがほとんどです。既存の支援団体は、このようなケースの被害者や家族から足抜けの相談があっても断ってきました。今回の新法でも、このようなケースの人たちが、自らの被害に気付き、拒絶することは困難であり、用意されたワンストップセンターなどでは、現状救済が困難であるケースも多いでしょう。

AV出演被害防止・救済法の課題については、新婦人しんぶん9月10日号に書きました。https://www.shinfujin.gr.jp/up/newspaper/12974/


ポルノ・買春問題研究会の定期刊行誌である『論文・資料集』第Ⅱ期第3号(通巻第13号)「AV新法は被害者を救うのか」にもAV出演被害防止・救済法の課題を書きました。

https://appinternational.org/2022/10/16/app-journal-13/


こぼれ落ちた被害者を救うための法整備について

AV出演被害防止・救済法 (#AV新法)見直しに必要な要件

①業者側健康被害免責禁止

②善管注意義務を、AV業者に課す

③出演者に恒久的公開権(取消権)

出演被害者は、ずっと「助けて」と、声さえあげられず、傷つきを重ねて苦しみ続ける人たちを救う方法を見つけることに AV出演被害防止・救済法 審議中には、誰も辿りつけないまま成立、改悪要求の高まりに恐怖を感じています。

AV出演被害防止・救済法の見直しは、施行後2年以内とされています。維新やAV業界は、業界利益と業界振興のために規制緩和を求めています。新法の見直しでは、溢れ落ちた大勢の被害者を救うことを優先し、労働の場を失ったと主張する人たちには、公序良俗に反しない安全な職業などへの移行支援が必要ではないだろうか。2022年に成立した(施行は2年後)若年女性支援法にも期待しています。


https://twitter.com/kaibasirabasira/status/1588565545838075904?s=20&t=pf1x8W_1OI134BZsAVoDBQ









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